2012年4月22日日曜日

スタービースト:失われたエイリアン原案


スタービースト:失われたエイリアン原案
1 :名無シネマさん:2011/11/30(水) 17:48:07.94 ID:bioxMdrE
ダン・オバノンによるエイリアン元ネタ
531 :名無シネマさん:2012/04/03(火) 11:14:13.44 ID:nKo6DiHy
フィン:"地球に安全を!"か。誰が複合体から地球を守るって言うんだ?
フィンは顔を背けて風景を見渡す。
カリク:アダム、その様子じゃ、お前の最後の兵役は、会社の命令に従う事じゃなくてどこかの修道院で聖歌を歌う事のようだな。
反応はない。カリクは立ち上がる。
カリク:まだタクソンの事で腹を立ててるのか?
フィンは少し彼のほうを向き、顔をしかめる。
カリク:皆、何故水もないところに住んでるんだ?
フィンは向きを変え、カリクの襟首を掴む。
532 :名無シネマさん:2012/04/03(火) 14:22:09.85 ID:nKo6DiHy
フィン:お前は、生きるために隣人をまたぎ越した事があるか?
カリク:何…?
フィン:逃げたいと言う衝動。あの大波を追い越すためなら何だって。
カリク:アダム、一体…
フィン:アダムと呼ぶな!
フィンはカリクを突き飛ばす。
フィン:ソノラン砂漠が地獄と化した時、みんな…タクソンの人々皆…は通りに出て、命がけで走っていた。唯一の道は国境を越える
事だった。国境に兵を配置したのは誰だと思う?イヤーお前の複合体だ!もしお前があの中の1人なら、国境を越えた。もしカンパニーの
ファミリーなら、脱出した。でなかったら、幸運を祈るばかりだった。
カリク:脱出したんだな。
533 :名無シネマさん:2012/04/03(火) 14:51:06.75 ID:nKo6DiHy
フィン:ザッツ・ライト!俺は脱出した。砂漠の生活なんか知った事か。もし俺たちが海岸にいて、満潮になったら、お前達
複合体の人間はこう言うだろうよ。何故こんなに水だらけのところに住んでるのか、ってな。
フィンは再び顔をそむける。
カリク:ヘイ、あんな事を言って済まなかった。オーライ?
反応はない。
カリク:俺は地球に行った事がないんだ。知らなかったんだ。俺が軍隊に入ったとき、親父には住む場所がなくなった。
これがフィンの注意を引く。カリクは木の下に座っている。自分に向かって語りかけているようである。
534 :名無シネマさん:2012/04/03(火) 15:25:31.79 ID:nKo6DiHy
カリク:それに、女房はウイルスの保有者だった。俺はやるべき事をやって、彼女は治った。だがその事を知って、彼女は去っていった。
カリクは黙り込み、顔を手で覆う。フィンはカリクの肩に手をやり、カリクは見上げる。
フェイド・トゥ・ブラック
アローヘッド。アローヘッドのエンジンはフルパワーを出している。船は連星を目指して進んでいる。連星の1つは小さくて赤く、もう
1つは大きく、黄色く輝いている。
アローヘッド、ブリッジ。オリバーはクリップボードで計算中である。心配そうに見える。計算結果にあっけにとられる。彼女は結果を
念入りに調べ、うんざりしてクリップボードを置く。
オリバー:シン、ターゲットがグリース・アルファ星系に向かってるのは確かなの?
シン:ターゲットがムー星系を出発するまでは、ネットワークの全データがそう示していました。
オリバー:ヘンジル、いつになったら視認できる・
ヘンジル:すぐです。
オリバー:すぐって?
ヘンジル:シンが言ったのは、あいつがムー星系にいた時の最後の状態です。ですから私が言えるのは、できるだけ早く、って事
だけです。
オリバー:部屋にいるわ。その時は呼んで頂戴。
オリバーは起き上がり、床のハッチを下りていく。
535 :名無シネマさん:2012/04/03(火) 16:46:56.96 ID:nKo6DiHy
ヘンジルとガニーはシンを見る。シンはオリバーの椅子に向けて頷き、笑う。ヘンジルとガニーは視線を交わす。
ガニーはかすかに頭を振る。
アローヘッド、オリバーの部屋。オリバーの背後でドアは閉じている。部屋は窮屈で、小さなデスク、ドレッサー、そして
寝台がある。彼女はクリップボードを投げる。額縁入りの写真の傍のデスクに落ちる。彼女は写真を取り上げる。オリバーと
家族の写真である。フレッドJrは11歳ぐらいで、ベイリーは2〜3歳若い。写真の皆は微笑しているが、フレッドSrだけが
無表情である。ドアがノックされる。オリバーは気を静め、ドアを開ける。トラックスだった。
オリバー:エンジンがイカれたなんて言わないでよ。
トラックス:ノー、ノー。効率は95%です。
オリバー:OK。で、何か?
トラックス:ノー、ちょっと伺いたくて。
オリバー:伺う?
トラックス:私は…いいですか?
オリバー:カム・イン。
536 :名無シネマさん:2012/04/03(火) 17:40:48.62 ID:nKo6DiHy
オリバー:私、時間の遅れ(ウラシマ効果)を計算したの。スピードが速いし、距離は長いから。あなた、分かってる?
トラックス:何を?
オリバー:約3年。私達が戻ったとき、予想より3年遅れる事になるの。
トラックス:だからファミリー…
オリバー:ファミリー・ステーションには調整できない。報酬の上に3年。あなた、奥さんより4歳上になるのよ?
トラックス:5歳です。
トラックスは考え込む。
トラックス:だから年下を好きになったんですよ。
トラックスは微笑むがオリバーは笑わない。トラックスはオリバーの手の中の写真に気付く。
トラックス:ヘイ、子供達との残りの人生があるでしょう。
オリバー:(殆ど叫んで)その時にはジュニアはティーンエイジャーよ!
トラックス:確かに。ですが…
オリバー:クライスト、子供でいるのは1度きり。成人はそのままだけど、父親に育てられれば育てられるほど子供は
怠け者になり、私の存在は消えるのよ。
トラックは少し笑う。オリバーも同様に笑う。
トラックス:失望するのは分かります。私には2人の友人がいます。2人とも母親です。子供達が思春期の時、遠くの
船で長いミッションに付けたら、と望んでいたものです。つまり、貴方は…
オリバー:オー。話は聞いたわ。でも私は子供達といたいの。でもそうも行かない。それは…
トラックス:何です?
オリバー:私にはやる事がある。
トラックス:ミッション?
537 :名無シネマさん:2012/04/04(水) 09:50:27.74 ID:ydyDtRag
オリバー:イエス。ノー。それ以上のもの。全てよ。フレッドは再徴兵でペンションを手に入れた。もう1回遠征の義務があって、
そうすればセキュリティーが手に入る筈だった。でも、それはアクシデントでおじゃんになったの。だから私はチェアに戻って、
今に至る、ってわけ。安定を得れば、一緒になれるかもね。
トラックス:イヤー、でも…
オリバー:トラックス、3年あれば、もう3回パトロールに出られるのよ。自分のペンションを買うには4回行かなくちゃ。
ヘンジル:(インターコムで)オリバー?
オリバー:イヤー。
ヘンジル:ターゲットを視野に捉えました。
オリバー:すぐ行くわ。
アローヘッド、ブリッジ。オリバーが入ってくる。3人は位置について作業に掛かっている。トラックスが遅れて入ってくる。
オリバー:OK。見せて。
オリバーはヘンジルの持ち場で身を乗り出して、コンソールから飛び出た双眼鏡ビューアーを覗き込む。
外周の辺りには距離計測の種々のインジケーターがある。中心には白い光の点があり、上・左に黄色い太陽が見える。
538 :名無シネマさん:2012/04/04(水) 10:26:37.66 ID:ydyDtRag
オリバー:ヘンジルが見つけた時、どれ位離れてた?
シンが見上げる。
シン:少し調整が必要でしたが、ムーを出てから、大きなコース変更はしていません。
オリバー:攻撃範囲に入るまでは?
ヘンジル:1時間42分です。
オリバー:グッド。もし…
シン:オリバー!
オリバー:もしコースに偏移があれば教えて。
ヘンジル:はい、確かに。
オリバー:何か探知は?
シン:艦長!
オリバー:何?
539 :名無シネマさん:2012/04/04(水) 11:34:39.12 ID:ydyDtRag
シン:ターゲットの現在の軌道からすると、惑星リマ-ビクター-4-2-6とのランデブー地点へ移動しています。
オリバー:OK。ご苦労様。いつ?
シン:2時間7分です。
オリバー:敵はもう1回スリングショットの用意をしてるの?
シンがコンソールをチェックする。
シン:測定できません。
540 :名無シネマさん:2012/04/04(水) 14:18:25.05 ID:ydyDtRag
オリバー:オーライ、みんな。ターゲットは射程範囲内に入りつつあるけど、ぎりぎりリマ-ビクターへ間に合うかも知れない。
もう1度スリングショットを使うかもしれないし、ステーションが待っているかも知れないし、増援部隊が待っているかも知れない。
私は答えを探すつもりはない、遠くへは行かせないから。だから皆、しっかり準備をして。交戦になった時に驚かされるのは御免だわ。
オリバーは椅子に座り、クルーを見る。
ヘンジルは機器をチェックして興奮してくる。
ヘンジル:オリバー?
オリバー:何?
ヘンジル:ひどく奇妙です。
オリバー:教えて。
541 :名無シネマさん:2012/04/04(水) 14:36:17.59 ID:ydyDtRag
ヘンジル:ターゲットには電磁信号が見られません。
オリバー:どういう意味?
ヘンジル:星からの反響や、運搬しているアイソトープのタグは分かりますが、ラジオ・シグナルは出ていないし、電流さえ
見られない。推進システムすら見られない。
オリバーはショックを受けている。ヘンジルは頷く。
オリバー:トラックス!
トラックス:イエス。
オリバー:どれだけ早くリアクターをシャットダウンできる?
トラックス:重要なのはコアを凍らせずにプラズマを減圧する事です。1時間、或いは2時間。
オリバー:射程距離に入る前にパワーダウンしないのは、鹿に忍び寄る時に、首にカウベルを付けとくようなものね。
トラックス:全くです。
オリバー:いった通りにして。
トラックスはハッチを下りていく。
542 :名無シネマさん:2012/04/04(水) 15:32:29.30 ID:ydyDtRag
オリバー:オーライ、みんな。きちんと整頓するよう言ったわね。私のアドバイスを受け入れたかどうか、もうすぐ分かる。
これから隠れるの。1回のミスファイアも、1回の進路エラーも、そして見失う事も敵は容赦してくれない。この時のために
トレーニングを積んできたのだから、自分の仕事をしなさい。質問は?(1拍置いて)トラックスがリアクターを冷却中です、
私達のネックのね。彼女が助けを求めてきたら、私に訊かなくていいから行ってあげて。その間に準備をしたほうがいいわよ。
掛かりましょう。
アローヘッド、リアクター・ステーション。トラックスはコントロールパネルのボタンを幾つも押す。スクリーン上には垂直の
高さ一杯の棒グラフが映っている。高さは次第に減っていく。トラックスは長い取っ手を引っ張る。
アローヘッド船外。エンジンからの輝く青い炎が太くなり、丸くなり、見えにくくなる。
アローヘッド、ブリッジ。低い轟音。オリバーは行ったり来たりしながら、皆の作業を見ている。
シン:ナビコムがターゲットを追っています。パワーダウン前の最終データのハードコピーが来ます。
オリバー:用意は?
シン:イエス。
オリバーは重い生地でできた黒いフードを広げ、シンの頭に被せる。
オリバー:眼を開いていて。
シン:分かってます。
543 :名無シネマさん:2012/04/05(木) 11:06:07.
なぜ人々は密猟ん
37 ID:In7Sys5c
オリバーはシートの前の床のはね蓋を開ける。彼女がレバーを引くと、水圧シリンダーの上に畳まれたクルー・シートが上がってくる。
彼女はシートを広げ、シンの所へ行き、手を掴むとチェアへと歩かせる。彼は座り、オリバーはシートベルトのストラップを手渡す。
彼はロックして締める。
オリバー:大丈夫?
シン:イエス。
オリバー:じっとしてて。
オリバーは再度レバーを引く。シンはドーム型の天井の真ん中までせり上がる。オリバーは別のレバーを引く。天井には滑車が
取り付けられており、そこにチェーンが載っている。滑車が回転し、チェーンが繰り出される。1対の大きな双眼鏡がぶら下がって
おり、シンの上に下がって来る。
オリバー:眼を開けてて。
シン:はい。
オリバー:(ヘンジルに)何かニュースは?
ヘンジル:コースは変わりません。我々に気付いたら、変えてるはずです。
オリバー:下へ行って、ガニーの海兵隊員の準備をして。
ヘンジルはハッチへ向かう。
544 :名無シネマさん:2012/04/05(木) 19:24:38.98 ID:mpXEuoak
オリバー:ヘイ、解凍を始めて。でも覚醒はさせないで。アドレナリン注入の用意と、上陸船の充電の確認を。
ヘンジル:勿論。
アローヘッド、リアクター・ステーション。トラックスはクリップボードをチェックし、コンソールのボタンを押している。
棒グラフの円柱は前よりずっと下がっている。ヘンジルが通り過ぎて隣のドアへ向かう。ヘンジルがキー・パッドにコードを
入力するとドアがスライドして開く。彼は中へ入る。
アローヘッド、フリーザー・コンパートメント。この広間は両サイドにフリーザー・チェンバーが並べられている。それぞれに
小さな窓があり、かすかな青い光を発している。ヘンジルはドア内側のコンソールに向かい、幾つかボタンを押す。
何回も音がして、チェンバーの上部のチューブが外れる。窓の明かりが青から赤に変わる。
アローヘッド船外。エンジンからの青い炎のボールが明らかに弱まる。そして小さくなっていく。ついには炎は消え、見えなくなる。
アローヘッド、リアクター・ステーション。
トラックス:(インターコムに)リアクターはダウンしました。でもコアはまだ熱いので、再点火は問題ないと思うわ。
アローヘッド、ブリッジ。トラックス以外の全員がいる。
オリバー:(インターコムに)グッド・ワーク。パワーダウンの用意は?
トラックス:できてます。
オリバー:(インターコムに)ガニー、ターゲットから何かシグナルは?
ガニー:ありません。完全に沈黙しています。
オリバーはシンのところへ行き、ボタンを押す。
オリバー:ヘンジル、射程距離までどれ位?
ヘンジル:20分です。
オリバー;海兵隊員は?
オリバーはシンの部署のプリンターから紙を破り取り、クリップボードに挟む。
545 :名無シネマさん:2012/04/05(木) 19:41:57.14 ID:mpXEuoak
ヘンジル:海兵隊員の体温は室温に近づきつつあります。
オリバー:リッパーは?
ヘンジル:フル充電です。
オリバーはシートに着き、シートベルトを締める。
オリバー:OK、グッド・ワーク、みんな。さあ、やるわよ。ガニー、ブリッジ・シールドを開けて。
ガニー:チェック。
ガニーはレバーを引く。
アローヘッド船外。アローヘッドの背部にドームがある。黒い装甲部分のヒンジがドームの基部に
後退して船の表面へ移動し、ガラスの下のブリッジが現れる。
アローヘッド、ブリッジ。内部の明かりで外宇宙の光景が見えなくなる。
オリバー:(インターコムに)トラックス、位置に着いてる?
アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは大きなレバーの列に囲まれ、シートに
ストラップで固定されている。
トラックス:(インターコムに)イエス。
アローヘッド、ブリッジ。
オリバー:(インターコムに)メン、ゼロGに備えて。いい?
皆返事はなく、頷く。
オリバー:ガニー、人工重力を切って。
ガニーはスイッチを叩く。
546 :名無シネマさん:2012/04/05(木) 20:28:15.69 ID:3wjV4Jcn
小さな物品、ペンやら何やらがクルーのコンソールから離れて漂い始める。皆は近くにあるものを掴んでユニフォームの
ポケットやクリップボードへ押し込む。ブリッジの後部を数枚の紙切れが漂っている。
オリバー:(インターコムに)OK、パワーダウンに備えて。
彼女はキーを差し込んでパネルを開ける。
オリバー:3、2、1。
オリバーはパネル内部の大きなスイッチを引く。
アローヘッド船外。ブリッジの輝くドームが暗くなる。船の外側の赤いライトがちらついて消え、アローヘッドは暗闇に
姿を消す。見えるのは星ばかりで、星のない部分がアローヘッドである。
フェイド・トゥ。ブラック
アローヘッド、ブリッジ。ガラスのドームの彼方、背景は星で一杯で、そこにグリース星系の連星が見える。徐々に、
ドームの補助ビームの底面がダーク・ブルーに輝き始める。光は緯度をディスプレイしている事が分かる。ドーム周辺
には経度を現わす光。
オリバーはグロー・スティックを叩く。
ヘンジルは緑色に光るグロー・スティックを握り、頭にバンドをはめる。
アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスはヘッドバンドを装着し、緑のグロースティックをヘッド
バンドに差し込む。
アローヘッド、ブリッジ。ガニーは緑のグロー・スティックの付いたヘッドバンドを装着して座っている。オリバーも
同様にしている。
オリバー:シン、いいわよ。
シンはフードを外す。彼の瞳孔は大きく、完全に開ききっている。
オリバー:OK。見つけて。
シンは頭上のチェーンの大きな双眼鏡を掴む。サイズは大きいが、シンは双眼鏡を操って眼に当てる。
オリバー:見える?
547 :名無シネマさん:2012/04/05(木) 20:42:08.70 ID:3wjV4Jcn
註)グロースティックとはサイリュ-ムの事ですが、グロースティックで通します。

ターゲットは小さな、楕円形の光の筋に見える。
アローヘッド、ブリッジ。
シン:捉えました。
オリバー:進路を見ましょう。
シンは双鏡鏡で見ながら上部にあるボタンを押す。双眼鏡から赤いポインター・レーザーが発せられ、ドームの緯度ゼロ、
経度ゼロに赤い点が現れる。
オリバー:コースは変わってないわ。
オリバーは伝声管の先端に小さなファンネルを接続する。
オリバー:トラックス、ケミカル・エンジン始動、50%。
アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。
トラックス:(伝声管に)了解、50%。
トラックスは2つのレバーを叩き、大きな真鍮の取っ手を押す。

548 :名無シネマさん:2012/04/06(金) 07:20:34.92 ID:rqvwfI8W
アローヘッド、船外。星々、そして暗闇。突然深く赤い炎が噴出し、アローヘッドの後部を照らし出す。前の青い炎ほど
明るくはなく、船体後部を照らし出すのがやっとである。
アローヘッド、ブリッジ。オリバーが腕時計をチェックしている。
オリバー:射程距離まで3分半。
ターゲット・シップ、船外。船は楕円形で、輝いている。
オリバー:グッド・ワーク。ガニー、今よ。
ガニー:アイ。
ターゲット・シップ、船外。接近すると、今では輝く楕円形の中に船の形が識別できる。
オリバー:こいつを気絶させるのよ、パンケーキにしては駄目。
ガニー:了解。
ターゲット・シップ船外。更に接近すると、栽培者の船である事が明らかになる。
549 :名無シネマさん:2012/04/06(金) 10:43:42.69 ID:F1YOlqsl
オリバー:接線縦距が最大値なら、あいつを吹っ飛ばして宇宙の塵してやるわ。
栽培者の船、コックピット。栽培者は椅子に座り、完全な瞑想状態に入っている。上部のコンソールが光り、脈動している。
オリバー:最初の一斉射撃は出力1.25で始めましょう。いい?
ガニー:了解。
栽培者の顔は穏やかな瞑想状態を保っている。
オリバー:OK。一斉射撃の準備をし、命令を待つように。
栽培者が眼を開く。オリバーの声が聞こえたかのようである。表情に怒りが浮かんでいる。
フェイド・イン。
惑星、昼。2人の男が野原にいる。カリクの髪が伸びている。大麦に似た茎を持っている。
カリク:23、24、25。この茎には核が25か。
フィンは何かを石版に書き、数歩歩く。
フィン:OK 。こっちだ。
何も起こらない。フィンは振り向く。カリクが口を開けて空を見上げている。巨大な栽培者の船が彼らの頭上を低空で滑空し、
丘の彼方へ降下していく。
カリク:あれは何だ?奴らの…
フィン:栽培者のカーゴ・クラフトだ。
カリク:見に行かなきゃ。
カリクは丘へ向かって歩き出す。
フィン:これを終わらせないか?
カリクは止まる。
カリク:何故…何をしてるんだ?
フィン:積むのさ。
カリクは再び丘を登っていく。
カリク:(肩越しに)あれを見なくちゃ。
フィン:ファイン。おもちゃを見てきな。
フェイド・イン。
550 :名無シネマさん:2012/04/06(金) 14:09:36.42 ID:F1YOlqsl
アントファーム、ロビー。ロビーは卵で一杯である。死体と壊れた卵のあった場所には、識別できない樹脂が山を成している。
アントファーム、センタールーム。ここも卵で1杯である。カリクのヘルメットが落ちて壊れた場所が窪んでいる。
アントファーム、裏玄関。卵の傍に蟻塚が立っている。開口部が大きなコンクリートのストッパーで塞がれている。
アントファーム、ロビー。重装備のフィンが念入りに卵の収穫を始める。
551 :名無シネマさん:2012/04/06(金) 15:02:06.84 ID:F1YOlqsl
フィンは鋲打ち機を持っている。その先に長いステンレス・スチールのチューブが延びている。彼は離れた所から卵の垂れ蓋をつづっていく。
彼は広い範囲で何度も繰り返す。フィンはブレードを引き抜いて卵の樹脂をカットする。ブレードのカーブを使って卵を床からもぎ取る。
フィンは金属トレイを取ると卵を入れ、6列に並べる。フィンは高い棚のスロットへ満タンのトレイを押入れ、空のトレイを引き出す。フィンは
このプロセスを繰り返しながら広いスペースを進んでいく。彼は裏玄関に達する。這って角を曲がり、トレイを引き寄せ、幾つか卵を切り取る。
彼は見上げ、はっと驚き、後ずさる。オレオが落ちてきたベンチレーション・シャフトの傍に、2フィートの卵が他を抜きん出てそびえている。
アントファーム、玄関。フィンは透明な容器を取り、水が入っており、かすかに湯気を立てている。彼はロビーへ行き、ブレードに樹脂を採取
してくる。彼は樹脂を水に入れ、溶けるまでかき混ぜる。

アントファーム、


上に猫とジャガーの写真
552 :名無シネマさん:2012/04/09(月) 14:56:15.27 ID:xxu7AlKY
アントファーム、広間。フィンは光るネットを前に構えながら広間を下ってくる。そしてかがんで大きな卵に近づく。彼はネットを投げる。
シースルーの布地が卵にかぶさり、そこから引き紐がぶら下がる。引き紐が締まり、卵はネットにぴったり収まる。フィンは引き紐を持ち、
他の道具をチェックする。彼はあごひもを締め、フェイス・シールドを何回か叩いて確かめる。彼は体を乗り出す。卵の蓋が開き、それに
つれ布地が伸びる。蓋の内部はレース状で、ピンク色の横隔膜が見える。横隔膜はかすかに震えている。フィンはため息をつく。
音もなくフェイスハガーが現われ、フィンに飛び掛かり、鼻が前へ飛び出す。最後の瞬間、ネットがフェイスハガーを捕らえる。フィンは
尻餅をつき、引き紐を引く。布の縁が卵から滑ってポーチにフェイスハガーを捕らえる。引き紐を握ってフィンは転げまわるフェイスハガー
と取っ組み合う。彼はやっとフェイスハガーを透明な水の容器に入れ、引き紐も中に入れて蓋を叩いて閉める。フィンは容器を持ち上げて
眺める。フェイスハガーは布から逃れようと容器の中でもがいている。フィンの顔面を覆うに充分な大きさである。
フェイド・イン
惑星、昼。20フィートの高さの滝が、下のプールに注いでいる。プールの縁や前景は砂州になっている。フィンは立ち泳ぎをしてカリクを
見ている。カリクは「全裸でスネまで水に漬かっている。
フィン:冷たくないぞ!
カリク:(ゆっくりと水に入りながら)温泉はないのか?
フィン:聞いたことないな。複合体で泳ぎを教わらなかったなんて言うなよ。
カリク:イヤー、イヤー。
カリクは水へ飛び込む。
フィン:どうだ?悪くないだろ。
カリク:ここの深さは?
フィン:分からない。見てみよう。
フィンは大きく息を吸い込み、水面から潜っていく。カリクが続く。
フェイド・イン
553 :名無シネマさん:2012/04/09(月) 17:15:28.01 ID:xxu7AlKY
惑星、昼。フィンが全裸で滝の土手に立って、プールを見下ろしている。カリクは彼を見上げている。
カリク:大丈夫だと思うのか?
フィン:お前は?
カリク:俺?お前、前にもやった事があるのか?アダム?
フィン:ノー。
カリク:アダム、何故さっさと降りて来ない?
フィン:スティーブン?
カリク:さっさと降りるんだ。
フィン:スティーブン?
カリク:イヤー?
フィン:約束してくれ。俺が首の骨を折ったら、手短に、痛くないように頼む。
カリク:馬鹿な。
フィン:手短に、痛くないようにな。
カリク:アダム、降りて来い!
フィン:頼んだぞ。
フィンはプールへダイブする。カリクは大声を上げる。
カリク:アダム!
フィンは水面へ飛び込む。カリクは恐る恐るプールを覗き込む。何も見えない。一瞬後、フィンが
現われる。
カリク:大丈夫か?
フィン:(笑って)イヤー。アンスリーはいつもこうしてたよ。
カリク:馬鹿め。
フィン:いつも、やってみろと言われてたんだ。
フェイド・イン
554 :名無シネマさん:2012/04/09(月) 19:51:11.57 ID:3wI3yfVA
惑星、昼。フィンは滝の裏側の洞窟で、腰から上を水面から出して立っている。青い光を浴び、低い轟きを聞いている。
数フィート離れた場所に、水面を破ってカリクが現れる。
フィン:ナイス、だろ?
カリクは頷き、歩み寄ってフィンにキスをする。
フェイド・イン
惑星、夜。2人は砂州で焚き火を燃やしている。水の入ったバケツが火の中に置かれている。フィンは手袋をしてバケツを
火から引っ張り出す。石鹸の棒を取ると手で泡立て、座る。
フィン:来いよ。
カリクは頭をフィンの膝に乗せる。フィンは髭に泡を塗り付ける。
フィン:訊きたい事があるんだ。
カリク:何だ?
フィン:アントファームにいた時だが。
カリク:イヤー?
フィン:お前が蟻と戦ってた時の話だ。
カリク:イヤー?
フィン:どこで習ったんだ?
フィンは長いカミソリを取り出し、カリクの髭を剃り始める。
カリク:複合体のトレーニングさ。基礎的な格闘術だよ。
フィン:基礎的な格闘術?あれでも基礎的なのか?
カリク:イヤー。
フィン:スパイが何かを学ぶとは知ってたが、考え付きもしなかった。前にもやった事が?
カリク:オー、イヤー。何回か、警備隊でね。1度はバーでだった。
フィン:誰かに怪我をさせた事は?殺した事は?
カリク:ノー。誰も殺してはいない。
555 :名無シネマさん:2012/04/09(月) 20:37:14.35 ID:mYI5umcR
フィン:船に残してきたのか?
カリクはたじろぐ。
フィン:ヘイ。OK。オーライ?
カリクは頷く。
フィンはカリクの髭の周囲を綺麗にする。荒めのブレードを取り出して角度をつけて髭を刈り込んでいく。
フィン:火事のあとは、殺してやりたいほど怒ってた。お前のような技があればな。そうでなくて良かったよ。
カリク:ここへはどうやって?
フィン:俺が知りたいよ。地域の管理人が、何故タクソンにいるのかといつも訊くんで、俺はいつも、俺がタクソンを出る
時は地球を出る時だ、と答えてたのさ。で、タクソンは死んだ。俺は移動する事にした。麻酔を掛けられたときには、俺は
地球の軌道上にいた。で、目覚めたら、ここにいた。俺とアンスリーともう1人…何て名前だっけ?思い出せない。そいつは
眼が覚めなかった。3週間昏睡状態で、そして死んだ。移動の事は記憶にないんだ。
カリク:その通り。
フィン:俺はいい仲間じゃなかった。初めて栽培者を見たとき、悲惨な生活…奴隷生活の実験の始まりだと俺は思った。こんな
だとは想像もしなかった。(髭剃りを終え)さあ、起きろよ。
カリクは起き上がる。フィンはカリクのロングヘアーを手で寄せ集め、捻ってブレードでカットし始める。
フィン:それから3年ほどして、栽培者はオレオを連れてきた。他には何も。EEVにオレオだけがいたんだ。
カリク:何故オレオという名を?
556 :名無シネマさん:2012/04/09(月) 21:01:34.77 ID:mYI5umcR
フィン:首輪に付いてたのさ。
フィンはカリクの後ろ髪をトリミングし、首の後ろを剃っていく。
フェイド・イン
惑星、夜。2人は砂州の上で眠っている。焚き火は今では残り火と化している。カリクがはっとして眼を覚ます。眼は瞬き、
焦点を合わせる。今夜、彼に見えるのは満天の星である。彼はフィンを見て、顔に手を触れる。
フェイド・トゥ・ブラック
アローヘッド船外。アローヘッドのケミカルエンジンが赤く燃えている。背景に栽培者の明るい2重楕円の船が見える。その
後ろに、輪を有するLV-426(リマ・ビクター・4・2・6)が見え、更に遠くにはグリース777の連星が見える。
アローヘッド、ブリッジ。
ガニー:(伝声管に)1番、2番、装填。
オリバー:(伝声管に)出力1.25。消しては駄目。能力を奪うだけよ。いい?
ガニー:(伝声管に)チェック。
オリバー:(伝声管に)OK、トラックス。エンジンを切って。
アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは真鍮の取っ手を引く。音が止む。
アローヘッド船外。赤いエンジンの炎が消える。アローヘッドは再び見えなくなる。
557 :名無シネマさん:2012/04/13(金) 09:58:31.94 ID:ZNezcPE7
アローヘッド、ブリッジ。
オリバー::(伝声菅に)ガニー、チューブのドアを開けて。
アローヘッド、兵器ステーション。
天井に沿って2つの長いラックがあり、ミサイルが並んでいる。丸く灰色で、その大きさはガニーの体程もある。ステーションの
端には2つの丸いハッチがあり、チューブに繋がっている。横には大きな真鍮の輪がある。壁のコントロール類とマーキングの
真ん中にEEVのハッチがある。
ガニー:(伝声菅に)チェック。
ガニーは輪を左へ回し始める。
558 :名無シネマさん:2012/04/14(土) 11:21:38.57 ID:r6Hon9sQ
栽培者の船、コックピット。栽培者は目を開けたまま座っている。目が反転し、上にあるコンソールの光と脈動が強まる。
船は加速していく。
アローヘッド、ブリッジ。シンは双眼鏡を覗いている。
シン:ホー!ホー!
光る楕円は急速に縮んでいく。
オリバー:何?
シン:逃走します!
オリバー:方向は?
レーザー・ポインターはまだ緯度、経度とも0を指している。
オリバー:(伝声管に)トラックス、エンジン出力80%。
アローヘッド船外。エンジンが咆哮し、息を吹き返す。
アローヘッド、ブリッジ。
オリバー:見つかったのかしら?
シン:はっきりしません。
オリバー:敵は何を?スリングショットを?
シン:多分。或いは、我々から逃げているんです。
ヘンジル:逃げ道はない。
オリバー:(伝声菅に)ガニー、攻撃準備は?
アローヘッド船外。船の前部、丸いチューブのドアがスライドする。
アローヘッド、兵器ステーション。ガニーは真鍮の輪を右へ回す。数回、止まるまで回す。少し息切れをしている。
ガニー:(伝声菅に)ドアは開きました。待機中。
559 :名無シネマさん:2012/04/14(土) 11:48:36.44 ID:r6Hon9sQ
栽培者の船、船外。船の前方に輪のあるLV426と月が大きく迫ってくる。
アローヘッド船外。栽培者の船が遠くに見える。アローヘッドの暗いノーズが徐々に忍び寄っていく。
アローヘッド、ブリッジ。
シン:射程距離に入りました。
オリバー:(伝声菅に)ガニー、1番、2番、発射!
アローヘッド、兵器ステーション:ガニーはチューブ・ハッチの間の2つのレバーを両手で引く。シューッという音。
アローヘッド船外。チューブからガスが噴出し、2基のミサイルが発射される。船を離れたミサイルはノーズのエレクトロニクス
により息を吹き返し、エンジンはまばゆい青色に点火する。ミサイルは船を離れ、遠くへ突進していく。
栽培者の船、船外。いまやLV426が視野の大部分を占めている。
560 :名無シネマさん:2012/04/15(日) 07:26:29.68 ID:5eVDD1/x
ミサイル。ミサイルのはるかノーズの向こうにまっすぐLV426と明るい楕円形の栽培者の船が見え、ライトが点滅している。
アローヘッド、ブリッジ。
オリバー:命中時間は?
双眼鏡の映像。大きな栽培者の船の楕円、その後ろの視野を占めるLV426、そしてミサイルの、青く輝く点。
アローヘッド、ブリッジ。
シン:約40秒。
オリバー:(伝声管に)ガニー、もう2発装填。
ガニー:(伝声管に)了解。
アローヘッド、兵器ステーション。ガニーは最初のチューブのハッチの輪を回し、取っ手を引き、息切れしながらハッチを
開く。そして足を床のストラップに滑り込ませる。頭上のミサイルの棚に向かうとミサイル表面の取っ手を掴む。そして
そうっと大きなミサイルを持ち上げてチューブへ入れるとハッチを叩いて閉める。
栽培者の船、船外。大きなLV426の輪の下に栽培者の船が見え、徐々に大きくなる。遠く離れて、星のように見えるピンポイント
が大きくなり、ミサイルである事が分かる。
アローヘッド、ブリッジ。
ガニー:(伝声管に)1番、2番、装填。
オリバー:(伝声管に)OK。(シンに)命中時間は?
シン:10秒です。
栽培者の船、船外。迫るLV426の輪。ミサイルが栽培者の船の背後に迫ってくる。
アローヘッド、ブリッジ。
シン:5、4、ホー!駄目だ!回避する!
栽培者の船、船外。ミサイルが船の頂点に達した時、船は信じられないような鋭いターンをし、上昇して右へ向かう。ミサイル
は尚後を追う。船は惑星の輪の破片の中へ消える。ミサイルは船の侵入点へ飛び込み、岩のかけらに当たって爆発する。
561 :名無シネマさん:2012/04/16(月) 11:03:59.
ヘビは猫を食べるようになる
88 ID:UzrDpLUs
アローヘッド、ブリッジ。ドームの視野はLV426で占められている。輪の上に2ヶ所、閃光が現われる。
オリバー:インパクト!当たった?
シン:いえ。
オリバー:ヘンジル、監視ステーションへ。
ヘンジルはシートベルトを外し、ハンドレールを伝って浮いたままブリッジを横切りハッチへ向かう。
オリバー:(伝声菅へ)トラックス、エンジン停止。
アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは真鍮の取っ手を戻す。ヘンジルが浮いてやって来て、彼女の下の
デッキへハッチを下りていく。
アローヘッド船外。赤いエンジンは再び停止する。アローヘッドは惑星の輪の下にあり、背景一杯にLV426が浮かんでいる。
アローヘッド、監視ステーション。ヘンジルが天井のハッチを通ってきて、上下逆さまのシートに着き、シートベルトを締める。
ここは小さなドームになっている。彼は棚から大きな双眼鏡を取る。
アローヘッド、ブリッジ。
オリバー:何が見える?
シンはドームの天辺で輪を見上げている。
シン:何も。
オリバー:アイソトープ・タグ以外は濾過を。
シンの指が双眼鏡の上側のドラム・ダイヤルをゆっくりと回す。
双眼鏡の映像。輪を作っている個々の破片。それらのイメージがが濾過され…オレンジ色が緑、青、紫、そして黒い影と
シルエットへと変化する。
アローヘッド、ブリッジ。
オリバー:見つけた?
シン:ノー。
オリバー:カモン!
シン:少し待って!
562 :名無シネマさん:2012/04/16(月) 15:19:53.90 ID:UzrDpLUs
シンは椅子を回し、ドーム越しに見上げる。かすかな、明るいマゼンタ色のちらつき。
シン:もう少し待って。
さらにちらつく光。
シン:あそこだ!
オリバー:見せて。
シンは双眼鏡のレーザーポインターを使う。赤い点はドームの頂点近くを指す。
オリバー:(伝声菅に)トラックス、北87度、右舷4度へ。
アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは呻きながらレバーを強く引く。アクチュエーターは船の前部の
バルブに繋がっている。
アローヘッド船外。船の前部、左舷とノーズの下のスラスターが点火する。後部では右舷と上甲板のスラスターが火を噴く。
船は右を向く。輪に対して垂直になった時、逆スラスターが少し火を噴き、回転を止める。
アローヘッド、ブリッジ。
オリバー:(伝声菅に)OK。バースト2秒、出力20%。
アローヘッド船外。エンジンからわずかに赤い炎が2秒間噴き出し、船は輪の中へ滑っていく。
オリバー:(伝声菅に)ヘンジル、しっかり眼を開けてて。
アローヘッド、監視ステーション。ヘンジルは双眼鏡を眼に当てる。輪のゴミがドーム周囲を漂っている。
アローヘッド船外。アローヘッドが輪とLV426の間の空間に現われる。
アローヘッド、ブリッジ。シンは熱心にドームをスキャンしている。
563 :名無シネマさん:2012/04/16(月) 19:27:48.07 ID:LQC1tdnN
アローヘッド、監視ステーション。ヘンジルもスキャンを続けている。
ヘンジル:カモン。姿を見せな。みだらなビッチ!
アローヘッド、ブリッジ。
オリバー:何か?
シン:まだです。
アローヘッド、監視ステーション。
オリバー:(伝声管に)ヘンジル、捕まえた?
ヘンジル:(伝声管に)探し始めたとこです。
ヘンジルは管を傍のフックに掛け、見下ろし、はっと気付く。輪の破片に寄り添い、栽培者の船が彼らの真横にいる。
ヘンジル:(伝声管に)ここだ!
オリバー:(伝声管に)進行方向は?
ヘンジルは驚嘆している。船はドームの視野一杯である。
ヘンジル:(伝声管に)南10度、左舷170。我々の真上です!
栽培者の船、コックピット。栽培者は再び静かに座り、瞑想状態に入っている。
564 :名無シネマさん:2012/04/16(月) 20:11:24.38 ID:5k4+Rxfl
アローヘッド、ブリッジ。聞いたオリバーはショックを受ける。
オリバー:(伝声管に)トラックス、左へインメルマン・ターン。今よ!
アローヘッド船外。アローヘッドは前方への推進力を保って漂っている。そのすぐ下、輪と水平に栽培者の船。
アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは急いで2本のレバーを引き、真鍮の取っ手を押し込み、そして
更に2本のレバーを引く。息切れをしている。
栽培者の船、船外。前景に栽培者の船が斜めに見え、周囲に輪の塵が広がっている。アローヘッドはターンしようとしている。
栽培者の船、コックピット。栽培者は瞑想状態にあるが、呼吸が速くなり、コンソールの明滅も早くなる。突然栽培者の目が
開く。表情は張り詰め、歪み、呻き声を上げる。コンソールは脈動から、溶けそうに熱いコンジットに変化し、放電し、天井に
向かってライフル・ボルトのように後退する。
栽培者の船、船外。アローヘッドはターンの途中にある。突然、見えない拳に打たれたかのようにスピンし始める。
アローヘッド、ブリッジ。スピンのため、オリバーとシンはシートの周りに吊り下げられ、双眼鏡はシンの手からすっ飛ぶ。
アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは体勢を立て直し、レバーを引き始める。
アローヘッド、監視ステーション。双眼鏡はヘンジルの手から飛び出し、ドームの横へ飛ぶ。
アローヘッド船外。アローヘッドはスピンしながら栽培者の船から離れていく。スピンを止めようとスラスターが火を噴く。
アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは別のレバーを握り、引っ張る。
565 :名無シネマさん:2012/04/16(月) 20:40:24.03 ID:alKgd9tT
兵器ステーション。ガニーは真っ直ぐ立っている。ミサイルが触れ合って音を立て、棚の上で位置を変える。
アローヘッド、エンジニアリング・ステーション。トラックスは呻きながらレバーを引く。
アローヘッド船外。更にスラスターが火を噴き、アローヘッドの縦揺れは収まる。
アローヘッド、ブリッジ。シンは息の下でののしりの言葉を発する。伝声管越しに、クルー達から似た言葉が聞こえる。
オリバー:(伝声管に)静かに!静かにして!
クルーは静まる。
オリバー: (伝声管に)聞くのよ。
アローヘッド、監視ステーション。ヘンジルはドームの外を見つめ、耳はハッチに向いている。双眼鏡が傍へ漂ってくる。
彼はそれを掴む。
アローヘッド、兵器ステーション。ガニーは直立し、耳に注意を集中している。
栽培者の船、コックピット。栽培者の呼吸は激しい。コンソールは冷えている。落ち着くと栽培者は再び瞑想に入り、
コンソールは音を立ててスライドバックする。
566 :名無シネマさん:2012/04/17(火) 07:29:07.42 ID:43LPt/wk
栽培者の船、船外。背景にアローヘッドが見える。栽培者の船は回転し、輪から離れ、LV426に浮かぶ2つの月へ飛んでいく。
アローヘッド、ブリッジ。
オリバー:(伝声管に)誰か、何か聞こえる?(返事はない)トラックス、表示は?
トラックス:(伝声管に)依然10.000パスカルです。
オリバーは気圧計を見る。
オリバー:(伝声管に)こっちも同じ。無傷のようね。OK。ヘンジル、シン、誰か、進行方向を。
アローヘッド、監視ステーション。ヘンジルは首を伸ばして輪から出た場所を見る。双眼鏡を取り上げる。
双眼鏡の映像。均一な輪の中に、黒い、渦を巻く2つの破片。
アローヘッド、監視ステーション。
ヘンジル:(伝声管に)消えました。
オリバー:(伝声管に)どういう事?
ヘンジル:(伝声管に)ヒット・アンド・ランって事です。
アローヘッド、ブリッジ。
オリバー:(伝声管に)探すのよ。遠くへは行ってない筈。
シン:分かりました。
シンは船の後部を向いてドームのはるか上を見つめる。オリバーは椅子を回しドームの後部を見る。
オリバー:(伝声管に)トラックス、北84度、右舷92度。出力50%。
アローヘッド船外。スラスターが点火し、アローヘッドは月の方向を向く。赤いエンジンが生命を取り戻し、栽培者の船
目掛けて飛んでいく。
アローヘッド、ブリッジ。オリバーは冷静に座っている。エンジンの咆哮がブリッジを満たす。
シン:射程距離です!
オリバー:(伝声管に)ガニー、1、2番、発射!
アローヘッド、兵器ステーション。ガニーは発射レバーを同時に引く。そしてもう1度。ミサイル発射のシューッという音。
567 :名無シネマさん:2012/04/17(火) 15:13:02.48 ID:JsB7VMXX
LV426近くの宇宙空間。からし色の天体、LV426には赤い斑点があり、乱流が渦を巻いている。遠くに、2重楕円の栽培者の船が
惑星へ向かっていく。船が近づくと、その軌道は惑星表面に対して接線方向となり、加速する。船より早いミサイルが後を追う。
アローヘッド、ブリッジ。
シン:スリングショットに入ります!
オリバー:(伝声菅に)トラックス、スリングショットの用意!エンジンを切って!
オリバーはドームを真剣に見つめる。惑星はぐんぐん大きくなってくる。彼女はコンソールを見る。
オリバー:(伝声菅に)マーク!
船の咆哮が止む。
アローヘッド、船外。LV426がアローヘッドのノーズの下で回っている。背景に、2発のミサイルのジェットが地平線のすぐ手前で
光って見える。
アローヘッド、ブリッジ。
オリバー:命中時間は?
シン:不明です。ターゲットは水平線の向うです。ミサイルは追っています。
アローヘッド船外。アローヘッドが上に、LV426が下に見える。ミサイルは水平線を越えて加速していく。
栽培者の船、船外。ミサイルが栽培者の船に忍び寄り、惑星を回って疾走してくる。
栽培者の船、コックピット。栽培者は再び緊張し、コンソールは溶け、天井に向かって後退する。
栽培者の船、船外。突然ミサイルはでたらめにLV426の大気に突っ込んでいく。眼に見えない手に打たれたかのようである。
栽培者の船、コックピット。再び栽培者は静かになり、コンソールは冷たくなる。船の垂木から何者かが落ちてくる。
それはフェイスハガーだった。フェイスハガーは落ちながら足を大きく開く。栽培者の目がそれを捕らえ、はっきり認める。
アローヘッド、ブリッジ。
シン:ミサイル、ロスト!
568 :名無シネマさん:2012/04/17(火) 15:46:43.97 ID:JsB7VMXX
栽培者の船、コックピット。小さなフェイスハガーは栽培者の口を覆わんばかりであり、拡がった脚は落ちないように体を
保持し、尾は栽培者の首に巻きつかんばかりである。栽培者の前腕は動きを止め、眼は反転する。
アローヘッド船外。LV426がアローヘッドの下で回っている。背景に赤い月が水平線から登ってくる。
オリバー:水平線の向こう?
シン:ノー。
栽培者の船、船外。栽培者の船はゆっくりと錐揉み状態となってLV426へ向かっていく。
アローヘッド、ブリッジ。オリバーは何かいい知らせを求めている。
オリバー:当たった?
シンはがっかりして双眼鏡を下ろす。
シン:ノー。
フェイド・イン
569 :名無シネマさん:2012/04/17(火) 16:36:05.
60 ID:JsB7VMXX
アローヘッド、ブリッジ。
オリバー:最新情報を。
ヘンジルがヘッドフォンを着けて部署に着いている。
ヘンジル:依然、レシーバーには何も。
オリバー:シン?
シンは双眼鏡から眼を離し、頭を振る。オリバーはため息をつく。
オリバー:観察を続けて。隠れるのは、この1周が最後。次はパワーアップしてスキャナーをオン。ちょっと話を。ヘンジル?
シン、眼を開いたままで話せる?
シン:イヤー。
ヘンジルは片耳をヘッドフォンからずらしてオリバーのほうを向く。
オリバー:最後にターゲットを目撃したのは、惑星を巡ってスリングショットを始めようって時だったわね?
シン:ええ。
ヘンジル:イヤー。
オリバー:そして、ミサイルを最後に見たのは水平線へ接近していった時ね?
ヘンジル:下からでは、シンのようには。
オリバー:シン?
シン:イヤー、そうです。
オリバー:ミサイルが命中しなかったのは確かなのね・
シン:確かです。もし命中すればターゲットはエネルギーで惑星外に吹っ飛びます。惑星へ向かいはしません。
シンは時計を見て、考え込む。
オリバー:その通りね。でも、もし自分から大気内へ飛び込んだとしたら?
ヘンジル:ええ、ありえます。でも、違うでしょう。
オリバー:何故?
ヘンジル:ええ、このタイプの惑星の大気はひどく危険です。それに、大気内へ入るならスリングショットを始める必要は
ありません。
オリバーはヘンジルの顔を見て、うんざりして頭を振る。
570 :名無シネマさん:2012/04/18(水) 10:11:38.06 ID:P07GHLn2
オリバー:地平線を越えた時、月に向かっていた筈ね。シン?
シンはまだ考え込んでいる。
オリバー:シン、奴は赤い月へ進めたかしら?
シン:いえ。
オリバー:地平線を調べていれば、10時の高さにいたかも知れない。
シン:捉えていたでしょう。
オリバー:ターゲットが軌道のどこかにいた事は分かっている。でも、今はいない。去るのを見てもいない。近くにいるんだわ。
可能性は限られている。けど答えが見つからない。
シン:オリバー?
オリバー:イヤー?
シン:他にも。
オリバー:教えて。
571 :名無シネマさん:2012/04/18(水) 10:45:48.49 ID:P07GHLn2
シン:ネットワークに話をしてパトロールを再開するなら、2時間以内でないと。
オリバーはシートで上体を反らす。
オリバー:では、これが最後の1周ね。
ヘンジル:何ですって!
オリバー:パワーアップして進めば、スキャンできるわ。
ヘンジル:ノー!
オリバー:真面目な話よ。
ヘンジル:私は真剣です。もうチャンスは来ない。
オリバー:私が分かってないとでも?裁判所へ行って何故持ち場にいなかったか説明したいの?パワーアップの準備をして、相対論
トラベルをするのよ。分かった?
ヘンジルは何も言わない。
トラックス:(伝声菅に)了解。
572 :名無シネマさん:2012/04/18(水) 11:23:47.92 ID:P07GHLn2
ガニー:(伝声菅に)チェック。
クルーが動き始め、騒がしくなる。
オリバー:(自分自身に)ファック。
人間の宿舎、厨房。カリクは液体をセラミックのバットからカップに注いでいる。フィンが入ってくる。
フィン:それは何だ?
カリクは笑い出す。少し酔っている。
カリク:やってみろよ。
彼はフィンにカップを差し出す。
カリク:カモン。
フィンはためらいながら少し飲み、喘ぐ。
フィン:どうしたんだ?
カリク:俺が作ったんだ。
フィン:分かってるよ。これは何だ?
カリク:グリーンベリーを集めて潰し、古いグレーンを見つけて…
フィン:オー、ゴッド!
カリク:効いたんだ。発酵した。
フィン:イヤー。
カリク:さあ。
フィンが断る前に、カリクはもう1つのカップに注ぐ。それをフィンに手渡すと自分のを飲み干す。カリクはカップを持ち上げて
祝杯をする。
カリク:バーベキュー・デイに。
フィン:バーベキュー・デイに。
2人は乾杯する。フィンはまた喘ぎ、カリクは笑う。
惑星、昼。フィンとカリクは丘の頂上にいる。カップを手に持ち、フィンはバットを持っている。下はバーベキュー・ピットで
ある。串に刺された家畜がローストされている。半ダースの栽培者が静かに周りに立っている。2人が近づくと、栽培者は彼らを
見る。
573 :名無シネマさん:2012/04/19(木) 10:00:25.54 ID:0NvH70kX
2人は頷く。栽培者はジェスチャーで返礼する。周囲にはボウルやバット、様々な調理器具の乗った高いテーブルがある。
カリクはバットを置く。2人は栽培者たちに加わる。2人が突然見上げる。カリクは困惑している。
フィン:新顔の栽培者が俺たちに会いたがってる。
カリク:オー、ノー。
フィン:カモン。
栽培者がテーブルの傍に立っている。2人はカップをテーブルに置き、前に立つ。軽くお辞儀をし、カリクはまた笑う。
栽培者は彼らを見下ろしている。アローヘッドに追われていた栽培者である。2人は頷き、カップを取る。2番目の栽培者が
近づき、カリクのカップを頷いて指す。カリクはカップを掲げる。2番目の栽培者は匂いを嗅ぎ、鼻を鳴らし、そして首を
振る。新顔の栽培者は笑う。カリクは爆笑してフィンを見る。フィンは微笑する。
惑星、昼。栽培者達は2人を見ている。2人は遠くの木に向かって走っている。2人は木の周りを回って、栽培者に向かって
走ってくる。2人が近づくと栽培者達は歓声を上げる。2人は駆け抜ける。最初がカリク、次いでフィン。栽培者達は大笑い
する。走り終えた2人は膝に手をついて喘いでいる。
カリク:俺たちにレースをさせるとは。
フィン:負けちまうとは。
574 :名無シネマさん:2012/04/19(木) 11:09:53.60 ID:0NvH70kX
惑星、昼。カリクはまたバットから注ぐ。
カリク:ヘイ、アダム!もっと飲むか?
カリクは2番目のカップに注ぎ、地面に座っているフィンに手渡す。カリクは座り、フィンが穀物や野菜や薄い肉片を乗せたプレート
を渡す。
カリク:オー、ボーイ。
フィン:カモン。
カリクは最初はためらいながら、そして思う存分食べる。そして笑い出す。
カリク:こいつはまるで…
カリクは更に笑う。
カリク:こいつはまるで…ブリスケだ!
フィンは面白がって頭を振る。2人は食べ続ける。
惑星、日没。栽培者達とフィンが丘の斜面に座って日没を見ている。カリクがフィンの隣に座り、カップを手渡してキスをする。
カリク:明日、滝の向うへハイキングは?
フィン:行けない。
カリク:何故?
フィン:家畜が作物を船に積み込むのを監督しなきゃならない。
カリク:オー、ファック!
フィン:何だ?
カリク:ああ、言わなきゃならない事が…
フィン:イヤー?
カリク:(上体を曲げ、ささやくように)あー、今の所、収穫はゼロだ。
フィン:穀物じゃない。卵だよ。蟻の。
カリク:(笑い、ほっとして)オー。
フィン:イヤー。ファースト・ステップさ。
カリク:待ってくれ…何だって?蟻が船へ?
フィン:ああ、そうさ。
カリク:蟻が?
フィン:イヤー。今日、発送だ。(1拍置いて)今季の収穫はよさそうだな。按配はどうだ?前と同じぐらいか?
カリク:イヤー。これまでになく、な。
575 :名無シネマさん:2012/04/19(木) 19:43:56.23 ID:mJotcYX1
フィン:本当に?
カリク:オー、イヤー。
フィン:卵を積み終えたら、助けてやれそうだ。
カリク:そりゃいい。
フィン:心配するな。家へ戻らないか?
カリク:オー、イヤー。小便をして、残りを呑もう。
カリクは身を伸ばして、キスをする。
フェイド・イン
惑星、昼。カリクは丘に立って、ドックの栽培者の船を見渡している。ドッキング・ステーションは木のプラットフォームが
並んだもので、無数の木製の止め木が船の下面を支えている。カリクは丘を下り、船のフロントへ向かう。歩き回って調べる。
彼は立ち止まって考える。近くの潅木に寄って放尿する。船に戻り、見て、考えにふける。そしてため息をつき、左の袖を
捲り上げる。左腕の小さな乳首をこすり、液体が右手へ噴き出す。そして右ひざを落とし、パンツを左のふくらはぎまで捲り
上げる。そこにも乳首がある。同じように搾る。彼は立ち上がると船首に近づき、振り返り、そして右手を表面にこすりつける。
右手の液体が反応し、化合し、煙の上がる染みを残す。彼は蒸気で咳き込む。手の跡は煙を上げながら消えて行き、見えなくなる。
カリクは数歩退き、身を伸ばして草むらへ嘔吐する。
フェイド・トゥ・ブラック
576 :名無シネマさん:2012/04/19(木) 20:25:24.65 ID:7em2EHN5
アローヘッド船外。アローヘッドの赤いライトが点いている。ブリッジのシールドが上がっている。
栽培者の船、コックピット。栽培者は座っている。左手は胸に当てられ、右手は床に触れている。
アローヘッド船外。アローヘッドのエンジンは明るいブルーに輝いている。
栽培者の船、コックピット。栽培者の目はゆっくりと閉じ、表情はリラックスする。
アローヘッド船外。アローヘッドは背景のグリース777の連星を接近飛行している。男達は再び
トランプに興じている。オリバーがチェアに着いている。
ヘンジルはカードを置く。
ヘンジル:彼女、なぜパワーアップをあれほど長く待っていたんだ?
オリバーはチェアに着き、膝にクリップボードを置き、だが眼は遠くを見ている。
577 :名無シネマさん:2012/04/19(木) 20:44:47.08 ID:7em2EHN5
シン:お前に指揮を執ってほしかったよ。
オリバーが起き上がり、ハッチへ歩いていく。
オリバー:ヘンジル。
ヘンジル:イエス、マーム?
オリバー:部屋にいます。ネットワークに乗ったら呼んで。
ヘンジル:イエス、マーム!
シンは隠れて笑う。オリバーは立ち止まって彼らを振り返る。
栽培者の船、ブリッジ。瞑想状態の栽培者の目が突然開く。
栽培者の船、船外。ダラス、ケイン、そしてランバートが見た遭難船の場面。警報の送信が聞こえる。
アローヘッド、オリバーの部屋。ユニフォームのブラウスの最後のボタンを外している時、何かが彼女の眼を捉える。
彼女は動きを止め、デスク上の家族の写真を折りたたむ。最後のボタン2つを外し、ブラウスを脱いでチェアに掛ける。
下にはぴったりしたTシャツを着ている。寝台に座って右のブーツを緩め、脱ぐ。もう片方のブーツを脱ごうとしていると
ドアにノックがある。ブーツを脱ぎ、ドアに向かって答える。シンだった。
578 :名無シネマさん:2012/04/19(木) 20:55:16.31 ID:7em2EHN5
シン:グリースの太陽系圏を出ました。
オリバー:OK。
シンはクリップボードを渡す。
シン:それに、これがクルーの戦闘レポートです。
オリバーはレポートをざっと見てページをめくる。
オリバー:ベスト・デイじゃなかったわね、シン?
シン:ああ、はい。
オリバーは身を伸ばしてクリップボードをデスクへ投げる。シンはぴったりしたTシャツを着たオリバーのすらりとした
姿を眺める。オリバーはシンに向き直ると、彼を掴まえる。
オリバー:入って、シン。
シンはあっけに取られている。
579 :名無シネマさん:2012/04/20(金) 11:16:56.
05 ID:Nk/gILi9
シン:一体…
オリバー:さあ!
シンはそっと部屋へ入る。オリバーは身を乗り出してドアを閉める。
オリバー:こんなの好き・
シン:好き?何を?
オリバー:分かってるでしょ。どれほど好きだか、見せて。
彼女はシンのベルトを掴んで自分へ向かせ、手を伸ばしてスクリーン外で彼をしごく。シンは喘ぐ。
オリバー:オー、カモン。
フェイド・イン
アローヘッド、オリバーの部屋。シンとオリバーが寝台の上で交わっている。シンは寝台に横たわり、オリバーが上に乗っている。
2人は全裸である。シンは頂点に達し、オリバーの目は閉じられる。
フェイド・イン
アローヘッド、シンの部屋。シンは衣服を身に着けている。
オリバー:シン?
彼は振り向く。オリバーは寝台で上掛けを掛けているが、まだ裸のままである。
オリバー:次の迎撃の時には、この太陽系には惑星が1つ以上あることを忘れないことね。
シン:イエス。
オリバー:さあ、出て行って。
ドアは閉じ、オリバーは天井をじっと見る。
フェイド・イン
580 :名無シネマさん:2012/04/20(金) 16:45:30.17 ID:Nk/gILi9
人間の宿舎、寝台エリア。カリクが目覚めると、フィンが背後から愛撫している。フィンはベッドから起きて服を着る。
カリクの顔は青白く、病的である。
フィン:(カリクを突いて)スティーブン?スティーブン?
カリク:(眼を閉じたまま)イヤー。
フィン:大丈夫か?
カリク:イヤー。
フィン:死んでるみたいだぞ。
カリク:呑み過ぎたんだ。
フィン:本当か?
カリク:イヤー。
フィン:今日は家にいるんだな?
カリク:イエス。
フィン:よし、ランチタイムには戻ってこよう。
フィンはカリクの前頭部に触れ、出て行く。
惑星、昼。栽培者の船の外側に家畜が列をなしている。それぞれ、卵で一杯のラックを押している。フィンが列の先頭へ歩み寄る。
野球のバットほどもある金属製の鍵を持っている。彼は鍵を船の側面の鍵穴へ差し込み、回す。大きな音がする。そして側面の
大きなメカニカル・ホイールを回す。涙滴形の入り口のハッチが上がってくる。彼は家畜に向き直る。
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